この研究グループについて

本研究会が進めているPBL対話的事例シナリオ教育の研究は、PBL教育(Problem-based Learning 及び Project-based Learning)を、教員養成教育をはじめとした対人援助専門職養成教育の重要な教育方法として開発し活用することを目的としています。特に実践現場で直接問題と出会うのではなく、大学等の教室内で現実的問題と出会う事例シナリオ教育の必要性に着目して研究を進めています。

このPBL対話的事例シナリオ教育の研究は、2012年度から日本学術振興会科学研究費の助成を受けて現在は第4期に至っています。

活動内容

PBL対話的事例シナリオ教育研究会は、一方で教育方法学にM.バフチン等の対話論の理論的及び方法論的諸成果を組み込む試みを進めてきたことを土台に、2004年以降三重大学全体で取り組まれてきたPBL教育を取り入れた高等教育改革の実質を理論的かつ実践的に探究しようとする中で生まれました。

1970年前後に欧米で開始されたPBL教育(Problem-based Learning及びProject-based Learning)は現実的な問題や課題に対して、自らの調査・探究、そして小集団による協同の探究によって解決することを骨格としています。PBL対話的事例シナリオ教育の研究は、そうしたPBL教育を、教員養成教育をはじめとした対人援助専門職養成教育の重要な教育方法として開発し活用することを目的としています。PBL教育は、三重大学全体で取り入れられるのに合わせて、教育学部でも教員養成PBL教育として取り組まれ始めました。当初は何よりも現場体験を対象とする現場体験型PBLが開発されましたが、その後現場体験だけでなく、大学等の教室内で現実的問題と出会う事例シナリオ教育の必要性が自覚され、本研究が開始されました。

本研究は、日本学術振興会科学研究費の助成を受けて第1期から現在は第4期に至っており、その概略を以下に記します。

第1期(2012年度〜14年度)は、予定された解答に導く従来のケーススタディとは異なって、事例と学習者、学習者間、さらに教員と学習者の相互の対話を生み出すことを求めるPBL対話的事例シナリオ教育とその方法の基本原理を明らかにし、各種の事例シナリオを開発しました。

第2期(2015年度〜17年度)は、対話的事例シナリオの4段階からなる構成方法を提示するとともに、独自のルーブリック評価方法を開発しました。そして対話的事例シナリオを教育職員免許法施行規則に示される「教職に関する科目」の全領域にわたって作成し、それまでの成果を書籍として公刊しました。

第3期(2019年度〜21年度)は、PBL対話的事例シナリオを核とした教員をはじめとした養成教育のカリキュラムを多領域にわたって開発しました。そしてそのカリキュラムの評価方法としてコンセプトマップを導入し検証しました。

第4期(2022年度〜24年度)は、研究対象を学校教員に限らずに対人援助専門職(教諭、保育士、介護福祉士等)に広げ、その養成段階で求められるPBL対話的事例シナリオの開発を進めると同時に、その効果を認知能力、非認知能力の両面にわたって可視化し検証する研究を進めています。

メンバー

赤木 和重(神戸大学大学院人間発達環境学研究科准教授)
大西 宏明(三重大学教育学部附属特別支援学校教諭)
大日方真史(三重大学教育学部准教授)
角谷 道生(三重県立明野高等学校教諭)
中西 康雅(三重大学教育学部教授)
根津知佳子(日本女子大学家政学部教授)
前原 裕樹(三重大学大学院教育学研究科准教授)
守山紗弥加(三重大学高等教育デザイン・推進機構特任講師)
森脇 健夫(武庫川女子大学教育研究所教授)
山田 康彦(三重大学教育学部名誉教授)
楊  欣 (愛知大学非常勤講師)
*五十音順

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